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2023/11/01

アトラスの作業まとめ

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昔に聴いたアトラスのピアノの音がとても好きで、やっとアトラスが見つかって、そのお方のところへ行くことが決まったピアノです。これから手を入れていきます。
猫足、マホガニーで、何気に黒檀黒鍵だったりして、昔の記憶のピアノのようになればいいな、と思います。

アクション修理

 

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ウイッペン関係の修理から始めます。

ジャックスプリング、交換しなくていいかな、と思ったのですが、力がなくなっているのと、ちょっとあって、交換することにしました。

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しかし、この大量の接着剤にはばまれて、ものすっごく大変で。。
仇のように接着剤が使われていて、接着剤の量について、先輩に怒られたあとだったのでしょうか。。

この接着剤のせいで、スプリングの下の方がが変形してたりして、そしたらスプリングの本来の力も発揮されずなので、やらないわけにもいかず。。
スプリングは千切れるし、取り除いた一番下にまだちぎれたスプリングが埋まってたり、なんせ大量なので、かなり時間をかけて交換していきます。 

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あっさりこうならないですが、接着剤がきれいなドーナツみたいにとれると、それはそれでうれしかったりして。 

 

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一つ一つ、ウイッペンやジャックのセンターピン状態を確認をしながら、スプーンもきれいにしつつ、古い接着剤を取り除いて、新しいジャックを取り付けて…を繰り返して、ウイッペン関係の修理が終わりました。

 

つづいて、ダンパーレバークロスの貼替も。

ここでも黒いやつが塗布されてて、当時の第三メーカーの流行だったのか、のちにこの界隈の調律師さんが塗布されたのか分からないのですが、ちょっと個人的にベタベタするし、汚いのと、接着が全面にされていて、好ましくないので交換します。

 

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おなじみの画像ですが、また、こちらも、よくある蒸気であっさりとれる接着剤でなくて、しかも全面故、一筋縄ではいかず、今日は接着剤に翻弄されます。。
カワイのダンパーレバークロスを剥がすときより大変だった気さえします。。
コツコツ、ひたすらきれいに剥がしました。

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剥がせたら、ダンパーレバークロスを裁断して、貼り付けます。
 

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ダンパーを取り付けました!  

ダンパーを本体に合わせていきます。

間隔も高さも、合わせるの、ちょっとレベル高めで、本体があってよかった。。
あれやこれやで、きれいな位置を出すのが難しくて、何度も修正を重ねて合わせました。

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おかげで、アクションを組み立てるとき、心配なく組み立てられます。

続いて、アトラスのハンマー関係の修理に入りました。  

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キャッチャースキンがほとんどこんな状態で、貼り換えないとダメっぽいです。。

第三メーカーのキャッチャースキンをこんなに変える年は初めてで、第三メーカーのピアノを治して使ってくださるお客様が増えてきているということなのでしょうか。

第三メーカーのピアノをきちんと修理するのは、とても難しく、今回も木製のアクションなので、気を付けつつ、でも、とても勉強になるので、いろいろよくみて作業していきます。 

 

バットフレンジを取り外して、交換予定のバットスプリングとブライドルテープを取り除いてから、キャッチャースキンを剥がします。 

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パパっと作業できるものではないけれど、昨日のダンパーレバークロスから思うと、かなりやりやすくて、いつも通りきれいになりました!
ダンパーを本体に合わせます。

 

 

アトラスのキャッチャースキンを貼り付けます。 
 

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隙間なく、貼り付けられました。 

 
きれいに裁断するに、なかなかぴったりが定まらず、微調整をして、裁断中も治具がずれてきてないかとか確認しながら、上から見たときの幅がキャッチャーとぴったりになるように裁断します。
貼り付けるときも、ずれないように気を付けて貼り付けます。 

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アトラスのキャッチャースキンの貼替が終わりました!  
 
バットスプリング、ブライドルテープの交換はさらっと終わって、ハンマレールクロスを貼替ます。 

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クタクタの様子で、接着もまだ取れやすく、こちらもさらっと終わる予定でした。

 
が、汚れたレールをきれいにしていたら、薬剤もなにも使ってないのに、汚れのとともに、塗装も取れてしまって。。
なんで丸?
不自然な塗装の取れ方…確かに丸く汚れてたけど…ちょっと塗装が薄いな、と思ったけど…
こんななるとは。。

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このままではダメなので、ハンマーレールを塗装することにしました。 

以前から、やり方は教えて頂いていて、難しそうで、「やれそうもない、自分がするのは先だろう」と思っていたけど、まさかここでこうなるとは…
音に関係なくても、これはやらないわけにはいかないです…

 

やり方や、難しい部分、注意した方がよさそうなことは、お話をお聞きした時に、メモにとっていました。

いままで、ラッカーの塗装はやったことあるけど、それはピアノの外装で、ハンマーレールの塗装は、初チャレンジです。

 
流石にお客様のピアノで失敗できないので、まず貸出用ピアノのマフラーバーで試してみて、やれそうだったので、ハンマーレールも塗装しました。

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難しいとお聞きしていたところはやっぱり難しかったし、私は塗装は特に欲張って失敗してしまうタイプなので、お話をお聞かせいただいていて、ほんとによかったです。

さらに、予想外をカバーしながらも、初チャレンジ、頑張りました。

やってやれてよかったけど、やれなかっても、治すのは自分で、誰もそばでは教えてくれません。
だけどすこしづつステップアップしてやっていけるのは、やれなかって治すのも自分で、そばで教えて頂けなくても、何かあった時、ご助言いただける尊敬するお二人がいるからで、それは何にも代え難く、大きな支えでもあります。
知れば知るほど無鉄砲でなくなって、慎重になりすぎてしまうけど、お客様のために、これからもチャレンジは続きます!

レールの塗装をやりつつ、他の作業を進めます。

バットのセンターピンは、調律の時、動き的に止まったりはなく、どうしようか決めかねていたのですが、解体して動かすと、少し動きが鈍く、

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センターピン、こんな感じになってるので、今後に一抹の不安があり、全交換することにしました。 

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バットスプリング、ブライドルテープ、バットセンターピン、すべて交換がおわりました!  

ハンマーレールもしっかり乾いていたので、アクションを組み立てていきます。

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走りや間隔、捻じれ、大体終わりました。
アクションが木製なこと、今回は本体もあるので、あとは本体にセットしてから見ていくことにしました。

アトラス、工房での作業が終わりました!

修理をしてて、なんでも手あたり次第にやってるわけではなくて、ご依頼主や、弾かれる方、年齢、性別問わず、その方の目を見て、『する理由、しない(できない)理由』を説明できるか、自分に問って判断するようにしてて、特にお客様のピアノは、伝えたうえで、どうしたいかは、お客様が決めることで、なおのこと、『どうして必要か』を正しく伝えなくてはなりません。
そのためには、正しいことを知って、自分が今やれること、やれないことの認識と、できることの幅と技術を深めていかなくてはならないですが、お客様の笑顔をみると、もっとよくして、喜んで頂きたいと思う気持ちが私の核の部分です。

鍵盤関係

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ちゃん黒鍵もきれいにクリーニングして、さっぱりしました

その他

アトラスのマフラーと鍵盤押さえのフェルトの貼替を行います。

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アトラスは、ペラい薄い布?にマフラーフェルトが貼られて、おもしろいです。

マフラーや鍵盤をもって、本体のもとへ。
アトラスのマフラーの掛かりがちょっとしっくりこないので、金具の位置など修正しました。

キャッチャースキンを交換したけど、問題なく、ただ、気になるジン線数本があって、ちょっとやってみたけど治らなくて、相談して『これはダメだね~』となって、それは、張りなおすことに。

張りなおしたら、出荷まで、何度も調律、整調して、安定させていきます。

早々に届いた巻線も張って、もういちど整調→調律→本整調をおこないました。

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アトラスが完成しました。

昔から欲しかったピアノが自分のお家にくるって、とてもうれしいことだと思います。
アクション関係は、キャッチャースキンやスプリングも交換して、ばっちりです。
音は、今回は、今がその『昔の記憶の音』かもしれないので、今はあえてこのままにして、お家に納品してからにすることにしました

完成後、巻線も交換したところもあるので、何度か調律と整調を繰り返していますが、出荷前は、もう一度調律と整調を行います。
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その後、無事に納品され、お届けと同時に息子さんとお母さまが喜んで弾いていらしたそうで、調律にお伺いするのが楽しみです!

納品されて…

こちらのピアノの下にも、ピアノの専用の大きな敷板に、専用のじゅうたんとおそろいの椅子のじゅうたんが用意されていて、それだけで望まれてこのお家に来たことが伺えて、嬉しい気持ちになります。

ピアノはお子さんがメインで弾かれるのですが、お母様もたまに弾く様子で、このアトラスの音は好きだけど、家の構造的によく響くのが気になる、ということで、すこしだけ整音しました。
アトラスにしかない響きを感じとられて、それをとっても気に入って、『アトラスでよかった!』と教えてくださり、しかも黒檀黒鍵で、とても運が良かったとおっしゃっていました。バックグラウンドを知っているだけに、本当にそう思います。

実はお客様が高校生の頃のころから遠巻きに関わりがあったりして、『あのお方がお母さんになったんだな〜』なんて、親戚のおばさんみたいな気持ちで修理の作業をさせていただいていたのですが、ご自身がクラリネットを吹かれていたので、その頃の音楽に熱心なご様子をよく覚えていました。
お互いクラリネット吹きで、しかもクランポンユーザーなので、そんなお話や、クラリネット吹きあるあるで、だいぶ盛り上がって、そんなこんなで写真を撮り忘れる事態でしたが、映像関係のお仕事をされているお方なので、とてもきれいに撮ってくださいました!しかもサイズとか、ばっちりで、ありがとうございました!!

これから先、お子さんとお母様で、末永くつかっていただけますように。

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今後ともよろしくお願いいたします!

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