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今治市・カワイKU50の作業まとめ

春先に調律にお伺いすると、特に中音で二打目以降がが出ない症状が多発していて、ジャックがつきあげているのかな、と思ってカラにしてもジャックが静止位置に戻らず、原因はバットスキンの毛羽立ちで、毛羽だったスキンにバットが引っかかてしまうことが原因した。
その時は発表会も控えてて、発表会が終る少し前にご連絡いただいて、少しお待たせしてしまいましたが、やっと修理に入ることになりました。

微妙にバランスパンチング虫食いで、フロントもなんか妙にスカスカフワフワしてて、安定感がない感じなので、

どちらとも新しいものに交換しました。
キーピンも、ぱっと見きれいなのですが、特にフロント側の頭の方がガサガサで、ブッシングを傷めてしまう恐れがあるので、触ってもガサガサしていない状態に磨きました。

新しい機種ですが、ホコリはあるので、

弦、チューニングピン、プレッシャーバーなど磨いて、内側からリフレッシュします。

ペダルも磨き直して、ピカピカです。

工房に戻って、早速アクションの解体を行いました。

毛羽立ちがあるのと、結構スキンが凹んでて、スキンの下にあるアンダークロスとアンダーフェルトのはりつけかたで、スキンのアールが変になっていることも引っ掛かりの原因かもしれなくて、こうなってくると、弾き方の問題ではなく、物理的に修理が必要となってきてしまいます。
スキンを貼りかえて材質的な改善と、貼り付けるときの貼り付け方も気をつけなくてはならないです。

機種的にかなり新しくて、このくらいの年式のもので、これまでもうすこし背の低いものだったらスキンの交換もしてきましたが、この背の高さでこの年式でも、修理が必要となってきているようです。
奥様と息子さんが弾いているピアノで、『息子が弾いてて、変だって言ってたの、あってたんですね。あたらしくピアノを買うくらいかかると思てたけど、そこまでかからないものなんですね。よかった…これからもずっとこのピアノを弾いていきたいので、修理をお願いします』と言ってくださって、時期をまっての修理で、不具合なくまだまだ弾いていけるピアノにしたいと思います!

特に中音が消耗しはじめていて、今回の修理からしばらくは修理することもないと思うので、貼り換えておきます。

コツコツ古いクロスを剥がします。

裁断した新しいクロスを貼り付けました。
スプーンやダンパーがスムーズに動くためにも、新しいクロスにして心配のない状態になりました。
ジャックスプリングを交換します。

スプーンがザラザラになっていて、このままだと動くたびにダンパーレバークロスを傷めてしまいます。

スプーンをピカピカ磨いて、

ジャックを磨いたり、バックチェックについたスキンを取り除いてきれいにして、新しいジャックスプリングに交換します。
30年ほど前のピアノで交換を迷いましたが、毛羽だったバットスキンに逆らってジャックを静止位置のもどすため無理をしていたのか、力がすごく弱まってて、交換することにしました。

ウイッペンの間隔を揃えて、

ダンパーロッドも磨きました。
なぜか低音側が極端にじゃりじゃりで、じゃりじゃりだとスムーズに動かないし、せっかく貼り換えたクロスも傷めてしまうので、ピカピカにして、触って滑らかになっているようにします。

ダンパーレバーを取り付けました。
ハンマー関係の修理に入りました。

息子さんが弾いてて、『連続して弾くと、一音目は出るけど、そのあと音が出なくなる』という症状の原因は、おそらくズタズタになったバットスキンにジャックが引っかかって、元の戻るべき位置にジャックが戻らないからです。
弾き方のせいで音が出ないのではなくて、一生懸命練習してもピアノの性能のせいで弾けないって、考えただけで胸が痛いです。
キャッチャースキンも妙にザラザラしてて、バックチェックを削っていたりするので、バットスキン、キャッチャースキン、バットフェルトを交換します。

解体してきがついたのですが、特に低音から中音セクションのハンマーのが接着剥がれを起こしていて、点検時には気が付かなくて…
あまりにも本数が多くて、実際低音のパワーがもう少し欲しいな…と思ったけど、その時はこうなってることを見逃していて、お客様に正直にお伝えすると、『せっかく今、見つけてくださったので、ここも修理をお願いします』とおっしゃってくださいました。
この位の年式でこんな風に接着剝がれがあるのが初めてですが、パワーを復活させられるよう、きちんと修理させていただきます。
他、ブライドルテープ、バットスプリングも交換します。

キャッチャースキン、バットスキン、バットフェルトを剝がして、ブライドルテープ、バットスプリングを取り除きました。
毎回、コツコツ時間がかかりますが、貼りかえると、これまでの不具合が改善されてタッチ感が劇的に良くなります。
弾けない原因がピアノにあったのなら、それを解消して、息子さんが困らないピアノにしたいです。

やっと半分終りました◎

地道に一本一本、丁寧に。良くなることが分かっているので、苦ではありません。

キャッチャースキン、バットスキン、バットフェルト、すべて取り除けました!
苦ではないけど、全部剥がし終えると、やりきった達成感があります。

ハンマー交換をすることになったので、念のためにダンパーを本体に合わせるため、お客様のお家にお伺いさせて頂きました。
工房で大体合わせていたので、大きくおかしなところはなかってよかったです。
解体した時に画像はお見せしていたのですが、接着剝がれがあるもの、ないもののハンマーの状態もお見せして、『これだとだめそうですね。。』と、驚かれていました。
ハンマーの仕様も決めて、またハンマー関係の修理が仕上がったら、お伺いさせて頂くことになっています。

キャッチャースキンを貼り付けます。
裁断をぴったりにして、空気が入らないようにぴたっと、上面になる部分、左右ぴったりに貼るのが大変です。

貼るだけも時間がかかってしまうので、やっとキャッチャースキンが貼れました。
。

バットスキンを貼り付けます。まず、片方を貼って、

しっかり上側側を貼ります。

隙間なく、アールの形がなだらかになるように貼ります。

バットフェルトも幅を合わせて、フェルトが直線、直角になるように裁断して貼ります。

横から見ても違和感なく、修理がすすみました。

ここまでがかなり大変で、ひと山超えました。

バットスプリングを取りつけます。

ブライドルテープもまっさらになりました!

ハンマー交換をするので、角度などを測定しておきました。

若干ガタ気味な気がしたので、センターピンも全て交換しました。
どんなに部品を新しくしても、ハンマーがブレて打ってしまっては、いい音は出ないので、きちんとしたトルクになるよう、センターピンを選んで、固さを調整しながら仕上げます。

ハンマー交換以外のハンマー関係の修理が終りました。

レール類を取り付けて、

ハンマーを取り付けました。
センターピンも交換しているので、走りなど、少し時間がかかりそうです。
鍵盤の修理に入ります。

特にバランスのブッシングの消耗が激しくて、鍵盤がブレてしまっていました。

バランスも、

フロントも、地道に古いクロスを剥がしました。
フロントがかなりデリケートなので、ささくれに気を付けて作業しました。

バランスは、穴がないタイプで、深さも、切り口も、かなり気をつかいます。
今回のピアノはバランスの方がかなりえぐれるように消耗していて、鍵盤もブレブレだったので、意味のある修理のするためにも、慎重にブッシングを貼りました。

フロントも、深さに気を付けて、きれいに貼っていきました。

バランスと、

フロントのブッシングクロス、接着も乾いて、深さなど大丈夫だったので、消耗しにくくなるよう処理して、

鍵盤を磨いて、鍵盤関係の修理が終りました。

本体にハンマーの位置を合わせて、あとはハンマー交換です。
『うわー、きれいになって!ほこりがすっかりきれい』と、見た目にもきれいになって、驚かれていました。ハンマー交換の準備がすすみつつあります。
ハンマー交換の準備を進めています。

治具のことなどやっていたら、なかなか穴をあけるところまでいっていませんが、準備にもう少し時間がかかりそうです。

穴あけをして、

低音、中音、

高音の方も、

ハンマー植えが終りました。
本体のがなくて、お届けまで安心できないのですが、治具を改良したり、やり方を見直してみたりしながらすごく集中して作業したので、早く音を聴きたいです。

ブライドルテープを取り付けて、ファイリングを行いました。

マフラーも、

お客様のお家へいって音を鳴らしてみないと、きちんとハンマー交換出来ているのか、どんな風な音がするのか分からなくて、緊張感が解けないままですが、きっと大丈夫です!
修理のお届けにお伺いさせて頂きました。
昨晩は緊張のあまり眠れなかったですが、お届けしてハンマー位置や角度を確認して、隣のハンマーと接触したりすることなく、一気に安堵に変わって、あとは整調、調律、整音をして仕上げました。
ジャックももちろん静止位置までスパッと戻るようになって、息子さんが弾いていて困っていた部分も、すっかり問題なくなり、低音もしっかり音が鳴って、鳴り方のバランスが取れました。
お客様に確認していただいて、『軽くてひきやすくなってる!音も全然ちがう!』と、普段は物静かでおだやかなお客様が、笑顔でピアノを弾かれて、ふわっと明るいお顔がとても嬉しかったです。
スキンの修理に加え、予定になかったハンマー交換も必要となり、私自身も本体がないはじめての機種で、本当に本体に合っているか、合わせるまでほんとに気がかりだったので、お客様の反応に肩の荷がおりました。
『親が買ってくれたピアノをしばらくほったらかしにしてたのが親に申し訳なくて…』、と、原因は放置していたからではないとおもわれますが、親御さんが買ってくれたピアノを息子さんのためによい状態を維持されたいお気持ちで修理を任せてくださり、これからは音楽のワークショップに親子で参加されているくらい、音楽がお好きなお母さんと息子さんとで、心配なく弾いていけますので、ご安心くださいね。
この度は、予定外の修理も迷うことなく決めてくださり、長時間の作業にご理解いただき、ありがとうございました。

今後ともよろしくお願いいたします!
