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保育園のカワイNS35の作業まとめ
いきさつ

もう長いこと毎年調律にお伺いさせていただいている保育園さんに納めるピアノです。
複数台調律させて頂いるピアノのですが、消耗や湿気の症状が強く、お伺いの度に出来る範囲で作業させて頂いて、その都度、ピアノの状態をお見せして伝えていましたが、今年は特に症状が強く、先生方もお困りでした。
年式も60年以上経つもので、消耗に関しては、貼替以外、手立てもなくなっている部品もあって、それを修理するにも修理箇所が多く、園長先生に状況を説明して、正直に想うことをお伝えしていたのですが、園の先生方と話し合われて、『子だもさんたちのために』と、二台、買い替えることになり、予算の中で、一台はこちらのカワイNS35になりました。
保育の中で、ピアノの使用頻度が高く、お遊戯会の練習などでもピアノが大活躍しているので、ピアノをお出しするのも、消耗など、できるだけ新しい状態にして出そうと思っています。
学校などでは、調律さえも毎年は厳しい中、ちいさな保育園さんがピアノを買い替えることは、とても大きな決断だったと思います。
ピアノの機種や内容などもすべてお任せで、それは、これまでの保育園さんと嘱託先の楽器店の信頼関係の上で成り立っていて、そういう関係を裏切らないよう、しっかり作業したいと思います
外装

まずは、裏の掃除をしました。
作業に入る前に一度調律をしておいて、必要そうなことを見立てて、あとはアクションを解体して、方向性を決めようと思います。
設置場所の環境や、そこにあったピアノの状態は分かっているので、そこも考慮して、作業していこうと思います。
保育の中に積極的にピアノを使ってこられている園なので、新しく迎えるピアノで、たくさんの子供さんたちが元気に音楽を楽しめるよう、精一杯作業させて頂きます。

天屋根を磨きました。

腕木や親板も磨きます。
黒いピカピカのピアノが来たら、小さなお子さん方も喜ぶと思うので、腕木の段差の汚れも、見落としなくきれいにします。

鍵の部分も、ピカピカに磨きました!
ピアノを寝かせてクリーニングします。

プレッシャーバーやチューニングピンを磨いて、駒の上や響板の上も、慎重にクリーニングします。

底板も、一旦、全てのパーツを外して、きれいに掃除してから、黒ラックを塗ります。

ペダルも磨きました。ピカピカです。

ペダル窓フェルトとクロスも、しっかり接着します。きちんと貼っておかないと、のちのちヨレて、剥がれてくるのです。

外していた前土台、底板、脚など取り付けて、しっかりホコリを飛ばして、ピアノを起こしました。

普段は見えなくなる部分ですが、

お納めすると、なかなか同じように掃除はできないので、徹底的にきれいにしました。
きっと小さなお子さんの中には、ホコリやダニのアレルギーレベルの高い子もいて、そんな子供さんが咳でつらくなったりしないよう、これから先、なるべくこの状態を維持したいです。

奥丸を磨いて、

鍵盤蓋も磨きます。蝶番は新品にしました。
子供さんたちがパタパタ触っても大丈夫なように、ビスも緩んでこないように締めました。

長丁番もピカピカにして、鍵盤蓋の磨きも完成です。
ほかの外装パーツ、天屋根の蝶番も磨いて、外装は磨き終わりました。
今園にあるピアノよりも背の高いピアノで、大きくて真っ黒なピカピカのピアノは、小さな子供さんには、より大きく感じたりするかもしれませんね。
自分のお家にピアノが来ることさえ、一生に一回あるかないかで、園のピアノが変わるのは、園にとっても、お子さんたちにとっても一大イベントで、『きれいなピアノが来た!』と、みなさんによろこんでいただきたくて、しっかり磨きました。
アクション修理

カワイNS35のアクションです。

アクションを解体しました。

ウイッペンの修理を行います。

交換する部品を取りのぞいて、パーツをきれいにします。
ジャックスプリングはすべて交換します。
ウイッペンのセンターピンは、固いもののみ交換することにしました。
今の段階で固いものはダメなので交換します。
プラスチック製ですし、交換しなくていいものは、温存しておくことにしました。

スプーンをしっかり磨きます。
買い替える前のピアノは、ダンパーレバークロスが、スプーンのところで穴がぽっかり空いてて、鍵盤の動きに支障が出てきていたので、念入りに磨いています。

交換部品を取り付けました。

低音セクションのウイッペン関係の修理が終りました。

前回の作業の続きから。
同じように一つ一つパーツをきれいにしながら、ジャックスプリングを交換して、必要なものは、ウイッペンのセンターピンを交換します。

ダンパーロッドも磨いて、

取り付けました。

ウイッペン関係の修理が終りました。
ジャックスプリングを交換して連打性もあがって、子供さんたちの好きな明るい曲が元気いっぱい響くといいですね。

ダンパーレバークロスを貼りかえます。
今、園にあるピアノのダンパーレバークロスは、消耗でスプーンの当たる部分に穴があいてしまっていました。
お出しするピアノは、穴こそ開いていませんが少し消耗があって、この先園での使用で消耗は重なっていく部分なので、新しく貼り換えておきます。

一台分、剥がし終えました。

新しいクロスを裁断して、貼り付けました。

すべてクロスを貼り終えて、穴もなく、以前のピアノで起こっていた鍵盤の戻り方などの不具合もなくなります。

アクションに取り付けて、

ダンパーを本体に合わせました。

ハンマー関係の修理に入ります。

まずは、フレンジと、バットスプリング、ブライドルテープを取り除きます。

バットスキン、キャッチャースキン、バットフェルトも交換予定です。
バットのフレンジごと交換するか、センターピン交換のみにするか、最後の最後まで悩みましたが、園の環境も考えて、フレンジごと交換することにしました。
ファイリングを行いました。卵型になるように、慎重に作業しました。
今までのピアノは使用が重なって、ハンマー交換しなくてはならないくらいで音も厳しい感じだったので、ピアノらしいきれいな音がだせるハンマーになっているといいな、と思います。

ハンマーの修理もコツコツ進みだしました。
キャッチャースキン、バットスキン、バットフェルトを取りのぞいていっています。
まだまだ序盤で先は長いですが、なぜこの修理をしなくてはならないか、自分の中できちんと理由がある作業なので、苦ではありません。
これから先、保育園で使っていく上で困ることのないよう、きちんと治しておきたいです。

バットスキン、キャッチャースキン、バットフェルト、剥がしていきます。
バットフェルトが全面接着されてるかんじになってて、剥がしていくのに、これが一番キツい感じです。

今日は夕方に用事もあって、やっと半分ですが、時間がかかっても、完全に取り除くことが必須なので、コツコツ地道に頑張ります。
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全部同じように完全に取り除くのは結構大変で、1本1本、雑にならないよう、きちんと剥がしきれてるかしっかり確認して、1本が完了したら次へ進みます。
ほんとに根気のいる作業なので、一度終わったと思うと、見直したりしても甘くなってしまうので、そのときそのときでしっかり仕上げます。

手をつけただけではダメで、きちんと意味のある作業をしなくてはならないと感じる今日この頃です。
やっと一台分、剥がし終えました。

キャッチャースキンを裁断して、貼り付けていきます。

幅をとにかく同じに裁断して、ぴったり隙間ない状態に貼り付けます。

キャッチャーの上面と面一になるように貼り付けるのは、簡単なようですが、かなり大変で、やるたびにやり方など改良してきましたが、相当時間と神経を使います。
キャッチャーの上面は、組み立てたとき目に付く部分で、きっちり合わせて切らないと、汚い仕事になってしまうので、修理するとき、すごく気を付けているところでもあります。

時間がかかっていますが、きれいに貼れていると思います。
残りもきっちり貼っていきたいです。
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引き続き、キャッチャースキンを貼っていきます。
サイドも面一です。

ぴったり貼り付けて、

しっかり空気が入らないように貼ります。

やっと一台分、キャッチャースキンを貼り付けました。
時間のかかる作業で、88本同じようにきれいに仕上げるのは、自分との戦いでもあります。甘くならないよう、気を付けて作業しました。

バットスキンも、片方は全て貼り終えました。

片方は貼り付けていたので、上側をしっかり貼り付けました。

バットフェルトを貼り付けました。
ダンパーフェルトと同じで裁断が難しくて、一向にまっすぐ切れず泣きそうになる時もあるので、まだまだ研究中です。斜めにならないように、慎重に裁断します。

バットスプリングと、

ブライドルテープを取り付けます。
最後、フレンジを交換します。
センターピン全交換にするか迷いましたが、園の環境や今園にあるピアノの状態からも、不安が残るので、フレンジごと交換することにしました。

新しいもののコードがだいぶ短いので、

動き方に支障がでてはならないので、一旦剥がしてから、元のフレンジコードと同じ長さのコードに貼り直します。

一本一本、スティックやガタでないことを確認しつつ、必要な時は修正しながら、ハンマーにフレンジを取り付けていきます。

ハンマー関係の修理が終りました。

ハンマーレールクロスを新しくして、レール類を取り付けて、

ハンマーを取り付けました。
フレンジを交換しているので、ここからまたしっかり走りなどみなくてはならないで、時間を見つけて丁寧に観ていきたいと思います。
どの作業もですが、やってだけではピアノにとって正しい状態にはならなくて、目線を落とさず、しっかり作業したいです。
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ハンマーを取り付けて、時間がとれずでしたが、こちらも仕上げます。

走りはなくなって間隔も大丈夫そうなので、本体に合わせました。

ブライドルテープを取り付けて、こちらもアクション修理が終りました。
想った以上に時間もかかってしまいましたが、二台ともお客様にとって、心地よい音になっているといいな、と思います。
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鍵盤関係の修理

ブッシングクロスを剥がしていきます。

続けて2台、違う年式のカワイの鍵盤の作業を行なっていますがブッシングクロスの質はほとんど変わらない感じでした。NS35の方が、バランスホール中がよりしっかり接着されている感がありました。

木部の材質が違う感じで、バランスもフロントもよりデリケートで、ささくれやすい感があったので気を付けて剥がしていきました。

フロントのブッシングを全て貼り付けました。
ブッシングの作業は、剥がして貼る、シンプルな作業ですが、ブッシングの深さや切り口を美しく仕上げられるよう、研究もしつつ作業しています。
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貼り付けたフロントブッシングクロスは、しっかり乾いています。

バランスも貼って、あとは磨いて、本体の仕上げに入ります。
園の皆様で心待ちにしてくださっているので、こちらも完成に向けて作業していきます。
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バランスもしっかり貼れていました。

黒鍵も白鍵もしっかり磨いて、鍵盤の作業が終りました。
かなりの頻度で使用されているので、新しく貼り換えて、また、長く使っていてだけると思います。

キーピンを磨いて、バランスとフロントパンチングクロスを交換しました。

つきあげも治して、鍵盤の調整を確認しました。これから整調など行って、仕上ていきます。
ピアノは園で初めて見る子供さんもいたりすると思うので、そんなお子さん達にも、『ピアノってきれいな音だな♪』と思っていただけるようなピアノに仕上げたいです。
仕上げ

粗整調と調律を繰り返して、何となく落ち着いてきました。
どんどん鳴りもよくなって、かなりよい弾き心地です。
元気いっぱいの子供さんにも負けないしっかりした音の鳴るピアノになっています。

口棒などもつけて、明日、完成させます。

一度鍵盤をあげて掃除をしてから、再度、調律と、整調を行いました。

マフラーや鍵盤押さえのフェルトも新しくしました。

外装の磨きをチェックしながら組み立てて、完成しました!
こちらのピアノは、小さな園児の皆さんのお部屋に納められます。
このピアノでお弁当の歌とか、お帰りの歌とか、みんなで歌うのでしょうかね。
目一杯弾いてこられた先代のピアノのように、たくさんのお子さん達と先生方にたくさん弾いていただけるといいな、と思います。
