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2023/08/07

西条市・アポロのアクション修理作業まとめ

アクション修理のいきさつ

5月の頭に数年ぶりにレッスンを再開されたので調律へお伺いさせて頂いたところ、かなりの本数、バットスティックして

状態をお見せして、説明して、『再開してすぐですし、様子をみられますか?ゆっくりご家族と相談されてみてくださいね。』とお伝えしたところ、『せっかく再開したので気になるところは全部治したい』、ということで、修理させていただくこととなりました。 

きっと予想もしていなかっただろうに、説明に耳を傾け、その場で決断して、任せてくださり、ありがとうござい

 

虫食いはまったくなく、スティック以外に気になるところは、お客様に説明して、その上で相談しながら、作業させていただきます。

 

とはいっても、今日は時間的に解体しかできませんでした。

少しずつでも作業をすすめさせて頂きます。

 

虫食いもなく、ぱっとみきれいなのですが、動かないところが多数です。。 

そして、ぱっとみ、カールザイラーのアクションに似ていますね。

一度お休みされたピアノのレッスンを、もう一度再開するって、その一歩って、勇気のいることでもあり、それだけピアノを弾きたいというお気持ちも強いのだと思います。

お客様の弾きたい!というお気持ちに応えられるピアノ戻せるよう、精一杯、作業させていただきます。 

 

ウイッペンの修理 (センターピン全交換・ジャックスプリング全交換)

 

修理前です。

 

 

 

一つ一つ、外して修理していきます。 

 

スプーンをみがいて、 

 

  

 

ジャックスプリングも交換するので、古い接着剤を取り除きます。ちょっと大変です。

 

 

 

ワイヤーを磨いたり、バックチェックについたキャッチャースキンや、ウイッペンパーツのクリーニングをしながら、ウイッペンセンターピンの交換とジャックスプリングの交換を行います。 

 

 

 

一つ完成させて、また次のウイッペンを外して……

88個、同じことを繰り返して、ウイッペンの修理が終わりました!

あっという間の一日です。 

 

ダンパーの修理 (ダンパーレバークロス貼替・ダンパーフェルト貼替)

ダンパーロットは…

 

 

雑音や消耗対策?と思われる黒いグリス的なものが、たくさん。 

  

この黒いやつ、木部につくと取れなくて、真っ黒になるので、とりあえずきれいにします。

 

 

  

ダンパーレバークロスも、

 

 

こんな感じなので、貼り換えていきます。

 

 

木部を傷つけないように、きれいに剥がしていきます。  

クロスが貼られている部分、このアポロは溝があります。

ピアノによって違ってて、溝がないタイプもあります。どっちがいいんでしょうかね?

 

 

ダンパーレバークロスを裁断して、貼り付けました。 

 

そして、このピアノ、ダンパーフェルトが、

 

 

このように硬化?してしまっていて、音を止めるとき、『ぶにゃん』みたいな変な雑音がして、カチカチ音がしてしまいました。  

 

ダンパーフェルトの修理は、難易度も高く、アクションのみを引き取っての修理は、ダンパーの本体合わせのため、お客様のお家にお伺いさせていただかなくてはならないので、修理期間も長くなり、完成までに二度お伺いすることとなり、お客様の負担も増えてしまいます。 

全てお話して、今回は、雑音が気になっていらっしゃることとのだったこともあり、ダンパーフェルトを全交換させて頂くことになりました。 

  

どの修理の時も、すべてお話したうえで、どのようにされていくかは、お客様に決めていただいております。もちろん、どうしていくのかの相談での質問や疑問には、すべてお応えしております。

おひとりおひとり、ご事情は違うので、ご事情のの許す範囲で、押し付けであってはなりません。 

 

まずは、元あったフェルトを剥がします。 

中音・高音側。 

 

 

 

低音側。 

 

  

 

 

ダンパーブロックも。 

 

 

 

木部を傷つけず、完全にきれいにしてしまわないと、きれいにフェルトは貼れません。 

かなり時間がかかります。。

 

ダンパーフェルトを貼り換えるのは、剥がすのもですが、ライニングフェルトの貼り方や、ダンパーフェルトの裁断、本体に合わすこと自体がかなり神経を使います。 

 

とりあえずきれいに剥がせたので、続きは後日です。

 

古いフェルトは剥がし終えたので、ライニングフェルトを貼っていきます。  

 

中音・高音のダンパーヘッド。

 

反物からライニングフェルトを切り出して、貼り付けます。 

 

低音のダンパーヘッド。 

  

板になってしまったダンパーヘッドに、ライニングフェルトと、ダンパーヘッドとダンパーブロックをつなぐフェルトも貼りつけます。

このフェルトも、元ついていたフェルトと同じ厚みのものを選びます。 

間違うと、合わせたときに大変なことになるので、慎重に何度も確認して。 

 

そして、ダンパーフェルトの裁断に入ります。

やわらかいダンパーフェルトを、まっすぐ直角に切るのは、ほんとに難しくて、集中を要します。

 

コツを教えていただいても、作業するのは私。

最低限はクリアしていても、見えてくるものもより細かくなってくるので、より美しく仕上げるために、教えていただいたことから、少しづつ自分にやりやすい方法も探します。 

 

治具をいろいろ設定して…

よし、切ります! 

 

一気にやります。集中して、乱れないように、淡々と。

そして、切るだけでなく、貼り付けもかなり気をつかいます。

 

ベスト・オブ・高音ダンパー。

 

 

低音側も、貼り終わりました。 

ダンパーフェルトも、実際に本体に合わせると、見え方も変わったり、そもそも本体に合わせるのも難易度が高いので、頑張らなくては。  

 

本体合わせは、お客様のお家で作業するので時間との戦いとなります。

 

ダンパーフェルトの本体合わせ

ダンパーフェルトを張り替えただけでは、正しく音を止める場所にダンパーの位置を決めることはできないので、アクション修理の途中ですが、一度、お客様のお家へお伺いして、作業させていただきます。

 

お客様のお家で作業するときは、考えられる不具合に対応でいるよう、これまであったいろいろも思い出しながら、忘れ物のないよう、何度も確認して、出発です! 

 

お客様のお家でダンパーフェルトの本体合わせの作業をするときは、工房で作業するときと、少し手順を変えています。

 

まず、弦に付いていた油?をふきとります。

ボン線だったり、ピンが緩くなったりしてなかったのでいいのですが、油?が付いたままだと、また同じように、『油+ホコリ=カチカチ、ぶにゃん』になってしまう恐れがあるので。。

 

油?、をふきとって、低音からダンパーヘッドの取り付けを行います。 

 

 

 

基準を決めて、

 

 

 

 

ダンパーブロックとダンパーヘッドの高さや位置を合わせたり、間隔を合わせます。 

一発で決まりません。

何度も何度も、合わせては変わって合わせては変わって…… 

 

こう触るとこう変わるから、という予測をたてながら作業していきます。

 

アポロさん、ダンパーブロックの位置は決めやすいけど、ワイヤー的にちょっと変わりやすく、行ったり来たり…

 

何とか取り付いて、止音もおそらく、大丈夫!  低音、大丈夫!

 

 

高音側です。 日夜、研鑽中です。

 

 

 

中音です。Wダンパー付近が、難しかったです。でも、もちろん、VもWもそれ以外も、止音はばっちり◎ 

 

 

アポロのダンパーフェルト、本体合わせが終わりました。  

 

 

お客様のお家でダンパーフェルトの本体合わせを行うのは、とにかくご迷惑とならないよう、時間を気にしつつ、でも、ダンパーを合わせていくことは、技術的に、すごくシビアだと思っています。 

貼替、本体合わせ、やればやるほどに、できるようになったこともあれば、見えてきたからこそ、もっと美しく仕上げたくなったり、ほんとに美しい作業を知っているからこそ、もっと上を目指したくなります。 

 

ハンマー関係の修理 (キャッチャースキン貼替・バットスプリング全交換・ブライドルテープ全交換・バットセンターピン全交換)

ハンマーは…

 

 

 

このように、スティックして、まったく動きません。。スティックしたピアノでは、よく見る光景です。

 

まずは、バットスプリングとブライドルテープを外します。 

 

 

そして、キャッチャースキンの状態があまりよくありません。。 

 

アポロのピアノでは、ごく一時期に製造されたピアノのキャッチャースキンが、人工皮革になって、ボロボロになって、ツルツルになって、バックチェックにうまくかみ合わなくなります。

 

しかも、そういうキャッチャースキンは、カーブのところに隙間があって、あまりよくなかったりします。。  

 

かなり限定された年式と機種で、すぐに別素材になったのですが、すでにくわえが怪しいところもあるので、キャッチャースキンも全交換していきます。

  

  

 

一つ一つ、きれいにキャッチャースキンを取り除きます。  

今日もコツコツ。理由があって作業しているので、まったく苦ではありません。 

 

続いて、スキンを裁断して、

  

 

貼り付けます。 

 

 

 

 

 

 

隙間なく、貼り付けられました◎  

貼り付けるのも、意外と気を使います。

あとは、バットスプリングと、ブライドルテープを貼り付けます。 

 

 

だいぶ、ハンマーの修理が進みました!  

アクションの修理は、残すところセンターピンの交換だけとなりました。 

バットセンターピンを交換していきます。 

 

 

 

交換前のセンターピン。

かなりさびてて、動きが悪くなるはずですね。。。 

 

このままセンターピンを打ち抜くと、よくないので、師匠を見習って、ひと手間くわえてピンを抜いていきます。

教えていただくまで、(このまま抜いてよくなさそう…)と思っていたので、教えて頂いたとき、すごい発想だとおもいました。

 

いつもより時間はかかったけど、バットセンターピンの交換が終わりました。

 

 

 

ハンマーレールとその他レール類をとりつけて、ハンマーを取り付けました。 

取り付けたら、走りや捻じれ、間隔をみていきます。

正直にいうと、今回、ものすごく大変でした。

 

第三メーカーのピアノに出会う機会はどちらかというと多いほうで、しかもアポロなので、そこまでのことにはならないとおもっていたら、レベル高めで、時間もかかりましたが、やっていくと、何とか整っていきました。

もっと経験を蓄積して、何があってもどーんと作業できるようにならなくては。。

 

久々、最初、不安のあるスタートでしたが、組みあがって、たぶん大丈夫。本体に合わせたとき、うまくいってるはず!

  

あせたり、ヒヤッとしたり、そうなったときにひらめくこともあるので、今日も少し前に進んだ気がします◎ 

鍵盤のクリーニング

白鍵のサイドの汚れおとしや、黒鍵の黒ラックぬり、木部とワイヤーのクリーニング、鍵盤のバフ掛けを行いました。 

バフ掛けがやりやすくなったので、早めに作業が終わりました。 

 

 

修理のお届け

 

毎度のことですが、アクションの引き取り修理は、本体に合わせてみるまで、ドキドキします。 

今回は、ダンパーの貼替をしたので、一度お伺いしてダンパーを本体に合わせているので、ダンパーは心配ないですが、ハンマーがどうか…

木製のセンターレールなので、『全部ガタだったら、どうしよう…』みたいな、謎の心配が頭をよぎって、どんだけ心配性なんですかね。

あらゆる面で心配性です。。

 

お伺いして、アクションをみたお客様が、『新品になったみたい♪』とおっしゃってくださって、期待度もさらに上がったようで、見た目だけでなく、修理でも結果をだして、喜んで頂きたいです!

 

 

木製で、手首がもっていかれそうな重ためのアクションを、 緊張気味にセットします。 

 

 

アクションをセットしました。 

 

弦合わせ、中音のはじまり以外、ほとんど動かさなくてよい状態。奇跡的!

木製のセンターレールで、なるべく動かしたくないので、相当ホッとしました。

 

作業に入る前にそのほかも確認します。

 

ダンパーのかかりもレットオフもほとんどいい感じで、カラもなく、心の中で軽くガッツポーズ!

 

さすがに中音始まりは、少しずつ同じ感じで動かして。

 

今回は、ダンパーの心配をしなくてよかったので、そういった点では、そこのハードルは低かったですが、アクションのみ引き取ってきて、この部分のダンパーを止音させつつ、位置関係を正しくして、さらにハンマーも正しく、アクションをセットして、触らなくてよいというのは、かなりすごいことです。

 

今回、ほとんど動かさなくてよかったのも、奇跡でまぐれかもしれなくて、いつ、どんなピアノでもお届けのとき、ダンパーとハンマーを触らなくてよい技術と、そうできていると思えるよう、経験を積んでいきたいです。 

 

作業をすすめていきます。 

ハンマーの位置も整ったので、第一整調を。といっても、鍵盤関係はクロスの交換もないし、最初見た感じで、かなりいい位置なので、さらっと終わります。 

調律をして、明らかに動きもよくなり、止音時の『カチカチ、ぶにゃん』の音もなくなっています。 

 

もう一度、全ての工程の精度を見直して、作業を終えました。 

作業後ピアノに触れたお客様が、『私でもわかるくらい、軽く音がだしやすい!』、といってくださり、心底ほっとしました。 

 

最後に

修理前は、打鍵後ハンマーが止まってしまうほど動きが悪く、いつもそうだったら、そのピアノはそういうピアノだと思うのかもしれないですね。 

スティックの修理も、とくに今回のように本数が多い場合、臨機応変ですが、ご家庭のピアノで、ご事情が許して、納得いただけるなら、シリコンやファルカスでその時だけ治っているのではなく、根本的に修理させていただくことが必要な場合もあります。

 

ほんとの正しい状態のピアノだったら、弾かれる方の技術に応じて、難なく弾けるのに、動きの悪いピアノだと、練習しても、弾かれる方の力量以下でしかピアノが再現してくれなかったり、弾くと疲れてしまって、そうなると、練習しててもうまくならないと感じたり、家のピアノだと弾けない、みたいになって、特に小さなお子さんだと、せっかく好きで弾きたいのに、気持ちが離れてしまうきっかけとなってはかなしいので、修理が必要で、お任せいただけるお客様のピアノは、正しくあるべき状態に戻すことを心掛けています。 

 

やめてしまったレッスンを再開されるって、すごく勇気がいることで、素敵なことだと思います。

修理させていただいたことで、トラブルもなくなり、『少し時間があるから、ピアノを弾こうかな♪』と、ピアノを弾く時間が前向きで豊かな時間となればうれしいです。

弾きやすくなったピアノで、いつか弾きたい夢の曲を弾けるようになるといいですね!

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