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西条市・カールザイラーの作業まとめ
修理のいきさつ
知り合いから譲り受けたピアノだそうで、私は初めてのブランドでしたが、『プルツナー』のピアノのようでした。

一度状態を見に行かせて頂いたところ、動きが悪い所がたくさんあって、全体的に虫食いの被害がありました。
リバウンドしていたりするところもあって、音が出ないところがあるように感じておられ、アクションと鍵盤の修理をさせていただくこととなりました。
小さな三姉妹の娘さんたちがピアノでレッスンできるように、と譲り受けたピアノです。
弾きやすくなって、娘さんたちに長く使っていただけるよう、素敵なお宅で虫が悪さをしないよう、掃除と修理をしっかりと行っていきます。
鍵盤関係の修理 (ブッシングクロス貼替・鍵盤のクリーニング)
まずはブッシングの張替えから。
修理前
バランスブッシングクロス

フロントブッシングクロス

両方とも、虫食いの被害があります。。
ブッシングの修理は、木部を損傷しないように元あった接着剤を取り除くのが大変で。。
今回も、特にフロントがデリケートな雰囲気。見てとれるささくれ感。
木部を傷めないよう、根気よく作業をすすめます。


両方とも、元のブッシングクロスを取り除きました。
穴の中のごみ等もエアーで吹き飛ばしてきれいに掃除しました。
修理のゴールかと思えるほどの達成感。
ってちらっと思うほど、かなり時間がかかりました。
きれいに取り除かないと、新しく張ったものが剥がれてくるので、きれいにはがしてやっと新しいクロスを張っていくことができます。
必要なことなので、大変だけど、面倒だとは思いません。
このような作業をするとき『どの分野でも職人さんは、面倒なことこそ丁寧に作業する』って、言われたことを思いだします。
確かにどの分野でも、尊敬する職人さんは、言葉どおり、『手間暇かけて』作業しています。それがお客様の目にふれるところでなくても。
基盤となる部分を丁寧に処理していくことで、正しいきれいな仕事につながって、お客様に喜んでいただけるといいな。
これで、ブッシングクロスを張っていきます。
バランスブッシングクロス

フロントブッシングクロス

張り終えたら、鍵盤そのものをきれいにしていきます。
木部の汚れをきれいにして、白鍵のサイドの汚れの除去、黒鍵の黒ラックの再塗装、ワイヤー磨き、鍵盤のバフ掛けをおこなって、鍵盤の作業は終了しました。

カールザイラーのマフラーの交換を行いました。

消耗や虫食いはありませんが、気持ちよく使えるよう修理させていただくので、新しく張り替えます。

新しくなると気持ちいいですね!
次は、鍵盤押さえを磨いて、のフェルトの張替えをして。

カールザイラー=プルツナー
のようです。ブランド名がプルツナーのピアノにも、このシールが貼られています。
そして、これだけ明るいので、本格的に磨きたくなって、予定を変更して、今日は持ち帰っていた外装を磨くことに。
好きな食べ物も先に食べるタイプです。なので、新しい工具もすぐに使いたくなります。

磨く前はこんな感じでした。比較的、きれいです。
クリーニングなので、うち傷は治せませんが、細かい擦り傷は、ポリッシャーで磨いて、消せるものもあります。

長丁番を外して、奥丸と鍵盤蓋を分解して、ポリッシャーで磨きます。
長丁番も磨いて必要な処理をして、長丁番の溝もきれいに掃除して、黒ラックを塗ります。そこが黒くないと、逆に目立ったりするようです。
譜面台を磨いて、蝶番はパタパタしているし、新しいものに交換しました。

ピカピカになりました!
その他、上前、下前も鍵盤押さえも磨き終わりました。
目を皿にして光で傷を探していくのですが、前は光で見つけるために変な態勢になったりして怪しい人だったので、もう見られても恥ずかしくないです。
親板も磨きやすくするのに、いつか自立して動かせる蛍光灯スタンドも欲しいな。
会社にいたころは、大体のものがそろっていて、壊れたらすぐになおしてもらえて、ないものの伝えれば手配してくれていたけど、今はすべて自分がやらなくてはなりません。
設備の投資も一つ一つが決断で、おかげさまでいろいろな分野のお方のご助言をいただけて、よいものを揃えていけています。
机しかなかった工房に、自分一人で設備を揃えていけて、それも修理をさせていただけているからですね。
よりよいピアノに仕上げて喜んでいただくために必要なものを作業しながら思いついて、何を優先にするか、そんなことを考える時間も、とても楽しいです。
アクション修理
工房では、カールザイラーのアクションに入っています。

お引き取りしてきたアクションです。

虫食いがあるなー、とハンマーレールを動かすと、ハンマーレールと赤いフェルトの間に大量の虫のなきがらが。。
慣れてるけど、慣れてるけど…
不意打ちは反則です。ビックリシマシタ。軽く悲鳴が上がりそうでした。
ハンマーレールのお見せできない惨状に、これから先のアクションの状態に黄色信号です。
解体をすすめます。

スプーンが、ガジガジになってしまっているので、

レバークロスも大変なことに。。そして、ここも虫食い。。
ハンマーは…

スティックしています。
お客様も『音が出ないときがある。』とおっしゃっていて、せっかく練習しても、うまく音が出せなくて、弾きずらかったよね…
気持ちよく音が出せるよう、頑張って修理していきますね!
そして、ここにも虫食い。
バットフェルト、穴があいてしまっています。
解体しながら、おおよその修理箇所を見立てます。解体しないとわからない場所や、判断がつかないところがあって、一台一台違います。
第三メーカーのピアノで、木製のセンターレールで、このようなピアノから学ぶところがたくさんあると思います。
判断に気を付けながら作業をすすめています。うい
ウイッペン関係 (ウイッペンセンターピン全交換)

スプーンがガザガザです。見るからに痛そうです。
この状態だと、ダンパーレバークロスをどんどん削っていってしまって、不具合を起こす原因となります。

バットの状態から、ジャックやウイッペンのセンターピンの状態も確認したかったので、一つ一つ外して作業します。
ジャックのセンターピンは全く問題なくて、ウイッペンのセンターピンはガタのものが多いかったので、こちらは全交換していくことにしました。
バットがほとんどスティックなのに、ウイッペンはガタで、解体しないと分からなかったことでした。
ジャックスプリングは、年式的に交換する気でいたにですが、こちらも全くへたっていないので、交換しないことにしました。
バランスを崩さないために、必要なことと必要でないことの見極めが大切である、という教えをいつも忘れず心がけています。

ほこりも取り除いて、ダンパーロットとスプーン、ワイヤーを磨きました。
あそこまでスプーンがガザガザだとやりがいを感じますね!

一つ一つ作業を繰り返して、ウイッペン関係の修理が終わりました!
それににしても、明るくなって、かなり見えやすくなったようで、バランスホールの中も、フロントの底までも、バッチリ見えます!!
外装だけでなく、修理でも明るくなったよさを実感しました。工事してよかった~◎
心なしか作業もスムーズになった気がします♫
ダンパー関係の修理 (ダンパーレバークロス貼替・突き上げ棒ガイドクロス貼替)

虫食い+スプーンによる攻撃で、原形もあやしいダメージ感です。。

完全に接着剤を取り除かなければならないし、木部を傷つけてはならないので、いろいろと気を使いながら作業します。

クロスを裁断して、貼り付けました。
修理につかうフェルトやクロスは、ほとんど自身でピアノに合わせて裁断します。
同じ幅で裁断したり、まっすぐきったり、クロスを打ち抜いたものの真ん中に穴を打ち抜いてパンチングをつくったり、それらをきれいに作業するのは、おもっているより難しかったりして、何度も失敗して、自分の不器用さに苛立ちながら、工夫して、もっと精度をあげてきれいな仕上がりにつながるよう、どんどん自分でやってみなくてはならないですね!

必要な処理をしてから、ダンパーレバーをとりつけます。
本体がない状態で組み立てるのは、修正も加えつつ、かなりいろいろ考えながらで、しかもダンパーは本体に合わせたときにあってないと大惨事となるので、毎回納品のとき、あってるかドキドキします。
これで、ダンパーの修理は終わりました。
あれだけレバークロスが虫食いなのに、ダンパーレバーパンチング他は無傷で、虫の好むフェルトがあるのでしょうか。。
次に、突き上げ棒ガイドのクロスの張替えを。

貼替え前です。
ブッシングクロス的なものが貼られていたのだと思われますが、元々がわからないほど、被害にあっていました。
いったんブッシングクロスを貼ってみたものの、持ち帰った突き上げ棒と合わせると、ぶかぶかで、しっくりこないというか、なんか正しくないというか、違う気がして。。
相談してみたら、やっぱりおかしいようで、突き上げ棒と穴とがちょうどよい具合になるクロスを選んで貼り直しました。
いつもご助言、ありがとうございます。

これで大丈夫そうです。
あとは本体に戻したとき、アクションとペダルと突き上げ棒の関係性を再確認します。
ハンマー関係の修理 (バットフェルト全交換・バットスプリング全交換・ブライドルテープ全交換・バットセンターピン全交換)
カールザイラーの修理が、残すところ、ハンマー関係のみとなりました。

修理前です。
バットフェルトはかなり虫食いで、ここは全交換しなくては。
バットスプリングも役目を終えてしまって、ブライドルテープもかなり汚れてしまっているので、共に、新しくします。
そして、ほとんどのハンマーがスティックしていて、動きがとまってしまいます。
かなり多いような印象だったので数えてみると、60本を超えていました。。
根本的に治すには、センターピンを交換するしかないので、バットセンターピンを全交換していきます。
まず、古いバットフェルトやスプリング、ブライドルテープを取り除いていきます。

バットフェルトが貼られていたところも、木部に気を付けて、古い接着剤を取り除きました◎
根気よく、コツコツと。

バットフェルトを裁断して、貼り付けました。
バットと全く同じ幅で、まっすぐ、直角に…
難しいんです。
自分が機械みたいに無心になって切っていく感じ?ですかね。
邪な気持ちが入ると、すぐ汚くなるので、無心で条件を変えないように。
バットフェルトとダンパーフェルトの裁断は、特に気合いを入れて挑みます。
ハンマーの修理の続きです。
まずは、へたっていたバットスプリングの交換から。

新しいものに交換します。
裁縫は嫌いじゃないので、すいすい作業が進みます♪

スプリングコードをカットします。
切り口がバサバサにならないよう、面一になるよう、安定した机の上でカットします。
気を付けないと、切り口が汚かったり、刃物で木部をえぐったりします。。
切ったコードの糸が、バットフェルトについたりしていないかの確認も忘れずに◎

ブライドルテープも交換しました。
見た目にもすっきりして、きれいになりましたね。
そして最後にバットセンターピンの交換です。
動きが止まってしまっていては、音もでないし困ってしまいますね。。

全交換しました。
これで問題なく正しく動くように♪
ハンマー関係の修理もすべて終わりました。
そして、ハンマーレールクロスの貼替を。

開くとびっくりなので、画像は控えますね。。。
虫も大変ですが、このクロスを張ったお方が、ものすごく慎重な性格でいらしたのか、接着剤が大量で。。。
レールも木製で、えぐらないよう、苦労しました。。接着剤大量ゆえに、スムーズにはいきません。。
時間をかけて、コツコツ剥がして、両方貼り換えて、外していたパーツも取り付て、カールザイラーのハンマーの取り付けを行います。

順番に取り付けていきます。木製のセンターレールなので、ドキドキしながら。。

取り付け終わりました。
ただ取り付けただけなので、あとは、間隔や走り、ねじれを見ていきます。

完成しました。あとはお届けの際、本体と合わせます。
修理のお届け (バランス、フロントパンチング全交換・キーバックレールクロス貼替)
お届けの前の日から、作業の流れを考えて、作業や調整に必要なものや、考えられる不具合に対応できるよう、忘れ物のないように気を付けて出発です!
どんな小さな修理でも、本体のないアクションや鍵盤の引き取り修理は、合わせて、大丈夫!と道がみえるまで、緊張します。
まずは、掃除して、バランスとフロントパンチングクロスの交換と、キーバックレールクロスの貼替です。
交換前です。

キーバックレールクロスも、バランスパンチングクロスも、虫食いの被害にあっています。
写ってないですが、フロントパンチングクロスも虫食いの被害にあっています。。
キーバックレールクロスをはがして、掃除して、バランスとフロントパンチングクロスの全交換を行います。

木部を傷つけないように、でも、完全に接着剤を取り除きます。お客様のお家ですので、様々なことに気を付けて。
今回の元のキーバックレールクロスは、通常アップライトピアノ用に販売されているバックレールクロスとは、厚みが違いました。
虫食いの被害にあっていますし、交換するのが望ましいけれど、厚みのことで不安があって、どうするか迷っていたのですが、いろいろなパターンでの対応をご助言いただいていたので、アクションと鍵盤の引き取りの際、どの方法にするか判断して、貼り換えることにしました。(ご助言、ありがとうございました。)
第三メーカーのピアノは、ピアノによって千差万別で、より慎重になります。

これで大丈夫です。土台ができました!
突き上げ棒のガイドをとりつけ、突き上げ棒といい具合の様子。
アクションをセットしたら、ダンパーロットと突き上げ棒の位置関係が、だいぶおかしいので、取り付け位置の修正を。
修正前は、びっくりな状態だったので、必死すぎて、写真を撮り忘れてしまいました。。
鍵盤も入れて、これがまたまったく調整いらずのベストな状態で、しかも、鍵盤の高さも、ばらつきはあるものの、いい感じで。
幸先のいい雰囲気!
ダンパーも、お届け前『平ダンパーが全部右寄りだったらどうしよう』みたいな謎の不安に襲われたのですが、修正を加える程度で、止音不良もなく、少し緊張がほぐれました。
ハンマーも、高音側を見直して。

やっと一回目の整調にはいります。
不具合の原因はいろいろ考えられますが、途中びっくりを何度か繰り返しながらも、一通り作業して、すっかり普通に動くように◎
そして一回目の調律を。
調律カードに、『トルクが弱い』と書かれていたので、お見積りの時に、ざっと一回通り調律していたのですが、感覚としては、そこまでではなく、ピッチもそのままだったので、安心しました。
ここまでくると、かなり道はつきました。
クロスが新しい分、なるべく安定させるために、もう一度整調を細かく見て、調律して、二度目の整調がいつもやっているよりばらついていたので、三度目、整調を見直すと、ほとんど変化がなくなったので、ひと安心です。

西条市の虫食いの被害にあったカールザイラーのピアノのアクションと鍵盤の修理が完了いたしました!
最後に
二度目の調律が終わるころ、かわいらしいお子さんたちがもどってこられて、何をしているのか、気になって、何度も顔を覗かせてきれました。
ご両親が『ピアノを習うなら、アコースティックのピアノで』と、お知り合いから譲り受けて修理してくれたピアノです。
お子さんたちが弾くのが楽しくなればいいな、と思いながら作業させて頂きました。
作業後、お母さんとお子さんたちがピアノの前に大集合して、『ピカピカだね』、『きれいだね♪』とピアノに触れる様子に、とても心があたたまりました。
お伺いした時と、帰る時とでは、顔つきが違うんだろうな、というほど、作業が終わるまで、びっくりがたくさんで、気の抜けないピアノでしたが、任せてくださって、細やかなお気遣いと、次の調律のことまで気にかけてくださって、ありがとうございました!
今後ともよろしくお願いいたします!

