今治市・カワイOP32 作業まとめ

いきさつ

工房では、先日搬入された、今治市・カワイOP32の作業に入りました。

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これから息子さん達と奥様がピアノを習い始めるということで、ご実家からご自宅に運び入れるため、クリーニングと使わない消音機の取り外し、アクションと鍵盤の修理のご依頼です。

ピアノそのものは、何度も引っ越しされいているのに、かなりの外装のきれいさで、でも、『ゴキブリの卵とかあるかも…』ということで、クリーニングもさせて頂くことになりました。

それよりも、中の調整関係がひどくて、

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鍵盤の高さとか、これだと、消音時、センサーの設定とか、大丈夫だったのかしら…。
さらに、レットオフも15ミリくらいあって、電子ピアノみたいなタッチになってしまっていました。
消音つけても、3ミリ~広くても5ミリくらいで付くと思うのですが、ppもffもでず、スッカスカなタッチになって、せっかくの最上位機種の良さが失われてしまっています。
消音機を外して、本来の良さ、正しいタッチとなるように作業していきます。

まずは裏の掃除から。
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分かりやすい所にGの卵があって、ホコリも含めて、きれいに掃除します。

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きれいになりました!これできれいなご自宅でも安心です!

こちらのピアノは、かなりお待たせしてしまって、最初はピアノを処分されて、良い電子ピアノを購入しようか、迷われていました。
でも、せっかくこんな、皆さんうらやましく想うような猫足の最上位機種をお持ちなので、治して、最初から良い環境でレッスンを始めさせてあげよう!ということで、修理させて頂くことになりました。

あまりにもお待たせしてしまい、最初はお母さまとお子さんのうちのおひとりだけがピアノを習い始めるご予定が、なんとお子様方全員がピアノを習うことになって、もう皆さんで通われ始めたとのこと!うれしいことです!
貸出させて頂いている電子ピアノでは間に合わ無いだろうから、皆さんが正しいピアノでレッスンされて、癖なく、のびのびと上達できるよう、丁寧にピアノに仕上げていきたいと思います!

消音の取り外し・内装クリーニング・外装クリーニング


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使わない消音の鍵盤のセンサーを外します。

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簡単に取り外して、掃除して、

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キーピンを磨いて、バランス・フロントパンチングクロスを交換しました。
キーピンがベタベタ?だと、タッチも粘っこい感じがするので、結構時間もかかりますが、どのピアノも、触って納得いくまで、ピカピカに磨きます。

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チューニングピンや弦も、

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コツコツ磨きました。錆なのか分からないちょっとベタっとしてるかんじの茶色いやつ、なかなかきれいにならなくて、あれは一体なんだったのかしら。。

本体自体の磨きはあっという間に終わって、今回は、中のほうが手がかかっています。なので、本体をお引き取りしてクリーニングさせて頂けて、良かったように思います。
きれいに使われていたピアノをきれいにするのは、ふり幅が少ない分、お客様が『きれいになった!』と感じられるところまできれいにするのは、大変だったりするけれど、見えるところも見えないところも、気持ちよく使って頂けるよう、しっかりきれいにしていきます!

ピアノを寝かせて作業します。

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立派な消音の基盤も、

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取り除きました。

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響板や駒の上をきれいにします。
こんなときしかできないので、傷つけないようきをつけながら、作業します。

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ペダルも、さすがにほこって、メッキがまだらに取れているので、

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一旦部品を取り外して、掃除して、黒ラックを塗りなおしました。

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ペダルも磨いて、窓フェルトも貼りなおしました◎

外装はすべて磨いたので、あとは中の修理です。
まだまだ小さなお子さん方が大きくなっても心配なく弾き続けられるよう、しっかり治していきますね!

アクション解体


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今治市・カワイOP32のアクションを解体します。

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消音機を取り付けたお方は豪快だったようで、番号の振り方もダイナミックです。
これは後程、消してしまおうと思います。

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ものすごく使い込まれて、カビなども発生しているので、しっかり掃除していきますね!

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消音のバーを取り除いて、アクションを解体しました。
動きの悪いセンターピンの交換、キャッチャー・バットスキンの交換などを行って、きちんとあるべき正しい整調をおこなって、このピアノのあるべき姿に戻して、本来の良さを取り戻せるよう、頑張ります!

ウイッペン関係の修理 (ジャックスプリング全交換・ウイッペンセンターピン全交換)

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今治市・カワイOP32のウイッペン関係の修理を行います。

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一つ一つ外して、

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古いジャックスプリングの交換と、ウイッペンのフレンジのセンターピンの交換を行います。
ジャックスプリングの力が弱まって、ジャックを戻す力が弱くなってしまうと、連打性が落ちるので、スプリングを新しく交換します。
ウイッペンのセンターピンもかなり硬くて、鍵盤の戻りが悪くなりそうなくらいだったので、全て交換することにしました。
重たかったり、弾きにくいと、特に子供さんは、練習が億劫になってしまうと思うので、きちんとした状態に戻します。

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新しいスプリングを取り付けて、ウイッペンのセンターピンもすべて交換しました!

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もちろんですが、ジャックやウイッペンパーツそのものもクリーニングして、主張強めの番号もそっと消させて頂きました。こう見ると、きれいになっていくのが分かりやすくて、作業をしていても、うれしくなります。

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ダンパーレバークロスの消耗が結構あったのですが、スプーン自体が少し錆びていたのも消耗がすすんだ原因かもしれないので、スプーンも一つ一つ、ピカピカに磨いています。

88個、すべてのウイッペンに関する作業は終わりました!

ダンパーレバークロス貼替

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ダンパーレバークロスは、穴こそ開いていないけど、かなりえぐれてきていて、もう一歩進むと、スプーンが引っかかりそうです。新しく貼り換えます。

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きれいだった外装とは裏腹に、中はカビや汚れが多くて、もしもお子さんに喘息があったりしたら、ダメなやつなので、カビも汚れも、徹底的にきれいにします。

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まず、古いダンパーレバークロスを剥がします。
カワイなので、すんなり取れませんが、ダンパーレバーを傷つけないよう、コツコツと。
久しぶりなきがするけど、年末、DS70の時、やってました。時がたつのが早すぎて、相当前に感じます。。

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ダンパーのカビも、

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一本一本、丁寧に取り除きます。
大人でも肺がかゆくなるので、お子さんだったら、なお大変です。
虫食いやほこったままのピアノがやってくると、アレルギーがでたり、なんか体調が悪くなったり…そういうことがあったり、そして発作は夜中や明け方に起こりやすく、夜中に救急に走るのは大変ですから、細かくクリーニングして、安心・安全なピアノをお届けしたいです。

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きれいになったダンパーレバーに、裁断した新しいクロスを貼りつけます。
穴もなく、スムーズに動きそうです◎

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ピカピカに磨いたダンパーロットも取り付けます。

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ダンパーを取り付けて、

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本体に合わせます。
何度やっても難しいけど、今日お伺いした二年前にダンパーの貼替をしたピアノを今日見て、あの時の私も頑張ってたと思ったので、あれよりもっと合わせられるようになっていないとダメで、あの時よりも、早く、美しく、を心掛けました。

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止音もバッチリで、本体に合いました。
ダンパーの修理と総上げや間隔は合わせ終わりました。

ハンマー関係の修理(キャッチャースキン・バットスキン・バットフェルト貼替、バットスプリング全交換、ブライドルテープ全交換、バットセンターピン全交換)ダンパーストップレールの取り付け

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一見、大丈夫かな?と思ったけど、解体前に整調のサンプルを作って確認すると、見事にリバウンドしてしまって。
今まで消音がついていて、しかも攻めた寸法だったから、リバウンドしなかったのかも?
初めてお伺いするこの年式のピアノで、異常にレットオフが広くて、戻すとくわえなくなることもよくあるのですが、原因はスキンだったりすることもあります。
キャッチャースキンとバットスキン、バットフェルトを交換して、不具合の解消したいと思います。

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一本一本、スキンを剥がすのは、ほんとに根気のいる作業です。
すんなり取れるならいいけれど、コツコツコツコツ…

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ついでにフレンジも、

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きれいにしました。

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お客様のお家の行く前と、昼前に工房にもどって、日が暮れるまで、全力で作業して、やっとのやっと、キャッチャースキンとバットスキン、バットフェルトを取り除きました。
元あったスキンを完全に取り除くのは途方もないことですが、ちょっとでも残ってると、ちゃんと貼り付けられないし、裁断が完璧でも、土台が均一じゃないと、ぴしっとそろって見えなかったりするので、大変でも、きちんと取り除くようにしています。

工房の作業は、今治市・カワイOP32のハンマー関係の修理の続きです。

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キャッチャースキンを貼りつけました。

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幅はもちろんですが、スキンそのものがまっすぐ裁断されて、スキンをキャッチャーと面になるようにしないと、かなり目に付きます。
なんだか最初、裁断するにも、スキンが斜めに切れてしまって、治具の設定や、刃そのものを調整したり、幅のあと一歩が合わず、すんなりいかなくて、ヤキモキしたけど、自分がダメだとおもったら、立ち止まれるので、納得いく設定にして、作業を進めました。
かなり時間がかかってしまったけど、ダンパーの時、自分がダメだと思ったら、後悔しないよう作業すると決めたので、そのあとの方が、スパッと悩まず判断できる気がします。
ただ何となく切って貼るだけでも、機能的には大丈夫なのかもしれませんが、それだと汚い仕事になるので、ピアノがかわいそうです。
そして貼り付けるのも気が抜けないので、今日はキャッチャースキンの作業で終りました。

今治市・カワイOP32のバットスキンを貼りつけました。

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スキンの目を間違えないように。
貼り換えた方が、心なしかタッチ感もよくなる気がします。
貼りかえる前はたいてい目が荒れてガサガサになっているので、新しいものは、目が整っているからでしょうか?
しっかり貼り付けるのに気を遣って、今日はバットスキンの貼り付けで終りました。

今治市・カワイOP32のハンマー関係も、
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やっとバットフェルトを貼りつけました。

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全部貼り付けて、どんどん修理を進めます。

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バットスプリングも、新しいものに交換します。
ヤマハYUAの修理の時、このスプリングの効果を再認識したので、必要を感じた時は、しっかり交換していこうと思います。
きっと、新しくなって、ハンマーの動きも一段と良くなると思います!

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カビていたり、スキンが付いてしまっていたブライドルテープも一新して、見た目もきれいになってきました◎

今治市・カワイOP32は、バットセンターピンの交換を行いました。

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今までに交換された痕跡もありながら、すべて交換して、やっとよくあるハンマーバットになりました。
こちらのハンマーは、お子さん方の代で、もう修理の無いよう、心配なく使えるよう、レッスンを始めて、三兄弟さんたちのご様子が様々で、そのご様子と、現在の状態を含めて、ハンマー交換をさせていただくこととなりました。
角度を測ってから、一度、アクションに取り付けます。
まだちょっと、バタバタしているので、先に鍵盤の修理からしようと思っています。

ダンパーストップレールは、ないので、
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新たに取り寄せて、何となくカワイはフェルトは赤な気がするので、赤にしました。

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ホコリが積もっていたレールは、

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きれいにして、カビもホコリもゼロです!

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ハンマーレールクロスも貼替て、レール類をとりつけました。
消音器付きだったピアノが、普通のアクションにもどりつつあります。

鍵盤関係の修理 (バランス・フロントブッシングクロス貼替)

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ブッシングクロスに消耗がみられて、バランスキーピンとブッシングの間にガタツキがみられました。
消音も併用して、かなり弾き込んでいたようなので、ここは新しくしておきます。

まずは、バランスを取り除きます。

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コツコツ作業です。

フロントも、同じく取り除きます。

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カワイは特にフロントは、蒸気にあてるとグズグズにささくれるのでもう、両方、蒸気を使うのはやめて、なので、大量の粉々がでるので、作業が終わったら、エアーでしっかりと粉々を飛ばします。

今日はここまでです。貼るのは、時間を見つけて頑張ります!

バランスと、
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フロントを

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ピシッと貼り付けました!剥がれてこなさそうです!

鍵盤のクリーニングも行います。

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黒鍵は、汚れていたり、黒ラックが薄くなったりしているので、

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バフをかけて、黒ラックを塗り直します。

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白鍵も、上面・小口、案外汚れているので、

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バフをかけて、汚れを落とします。

鍵盤を本体に収めてブッシングの具合を確認します。

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バランスもフロントも、ほとんどそのままで大丈夫でした◎
ブッシングクロスの貼替はよくある修理ですが、切り口のきれいさや、穴を通さないタイプは、穴の中のブッシングの長さなども気にしないとダメで、気にする点も多い、手間のかかる修理です。
オーバーホールされたピアノでも、面倒だからか、ガタツキがあっても修理されていないこともあったりするのをみるくらい、地味に大変だったりするけれど、鍵盤の動きにブレがあったら、ひどい時は隣のキャプスタンと当たったりするし、ブレてる段階で、弾き手の方には違和感があったり、弾いたことも細かく再現できないと思うので、大変でも、必要な時はしっかり治していきたいです。

ハンマー交換

今治市カワイOP32のハンマー交換を行うために、準備をすすめました。

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今回から、穴あけもやっていくので、治具を揃えたりしたのですが、慎重故に、植えるまでの道のりは、ちょっとゆっくりです。
今日は、角度を測りました。
目がパサパサになりながら、何度も確認して、記録しました。
きれいに植えるためには、正確な穴あけは必須だと思うので、条件を整えるのに、ちょっと試行錯誤をしていこうと思います!

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記録した前のハンマーの位置をもとに、穴あけの位置に印をつけます。

いよいよ穴あけ!、の前に、

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先日、師匠が、教科書より丁寧でわかりやすい、経験に基づいたハンマー交換の穴あけの方法と、練習用にと、たくさんハンマーを送ってきてくださいました。

修理などは、経験を積んでこそ見えてきて、自分の中に確立されていくものだと思っています。
私は、やりたくてもできない期間があったり、張弦やハンマー交換などの大きな修理は、そうあることではなく、経験して会得されたものを教えて頂くことは、その方々の積み重ねたものを与えていただくことなので、簡単に教わってはならないことだと思っています。
そのような貴重なことを教えてくださることは、ほんとにありがたいことで、教わったことでお客様に喜んで頂ために受け継がせていただいたことなので、しっかり結果を出さなくてはなりません。

お忙しい中、知りたいと思うだろうことをまとめてくださり、お心遣い、本当にありがとうございました。

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たくさん練習して、穴あけを行っていきました。
低音が、実際、もとついていたオリジナルもかなりギリギリで、練習の甲斐あって、何とか穴あけが終りました。

工房では、今治市・カワイOP32の作業を行いました。

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ハンマー交換に向けて、一度、古いハンマーを取り付けました。
治具のこととかやっていて、植えるに至りませんでしたが、ハンマー交換の準備は終わりました。

いよいよハンマー植えです。

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高音から植えていって、

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次高音、

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中音、

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低音と、全てのハンマーを植え終りました。

ちゃんと測定できていたようで、90度で弦を打つようになっていました。
完全に乾くと、ちょっとわるので、また、明日、よく見てみます。
朝になって、変わってないといいのですが。

試しに88キーを入れて音をだすと、カーンとなったので、ちょっと安心です。
明日、音を出せるといいのですが。

これで、修理自体は終わりました。

大変お待たせしてしまって、申し訳ありませんでしたが、やっと終わりが見えてきました。
日曜の納品希望でいらしたので、運送会社さんにも予定を確認しなくては!
あと少しです。今しばらくお待ちくださいね。

今回からハンマー交換は、穴あけも自分でやることにしました。
自分でやった方がいい点もあるので、いつかは…と思っていたけど、治具を揃えたり、何より自分のスキル的に、勇気がなく、なかなか一歩が踏み出せ時にいました。

師匠にハンマー交換の方法を教わってから、これまでよりもずっとハンマー交換がやりやすくなったり、大きな修理をでハンマー交換をしたり、お客様のピアノの状態的に、ハンマー交換した方がよいことが増え、この先数台承っている状況で、いろいろ相談させていただいて、背中を押してくださり、やっと一歩を踏み出しました。
穴あけの際も、方法を詳しく教えてくださり、本当にありがとうございました。

何事も、一歩を踏み出すには勇気が必要で、スキル以上のことはできないし、やるからには、仕事として成立させなくてはなりません。

一人で穴あけ→ハンマー植えを終えて、この先も、自分でやっていくことになります。
やってみて、穴あけの精度で、当たり前ですが、仕上がりも、あと植えやすさ自体も全然違うものですね。
アップライトは、より、難しく、ちょっとのことが大きく影響して、また、調整の幅というかが、グランドに比べて、ほとんどないので、穴あけも、植えるのも、よりシビアです。
いつも作業をするときは、師匠の植えたハンマーをイメージして、ちょっと画像をみながら作業するのですが、あんなに完璧にきれいに植えるのは、全部の条件がそろわないと難しく、また、写された画像が、一番見られたくないような、ほんとに合ってないと見せられないようなところまで写されていて、心からすごいな、と尊敬します。
今はまだ、あそこまでは遠いですが、しっかり経験を重ねて、完璧なハンマー交換で、よりよいピアノにできるよう、頑張ります!

仕上げ

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仕上がりが近いので、アクションボルトを磨きました。

流石に少し動いたところを見直して、ブライドルテープを取り付けて、ざっと粗整調して、音の出せる状態にしました。
昨日、最高音がきちんとなることだけは確認していたけど(植え方が上手くいかないと、最高音がカツカツ音がして、ちゃんと音が出なくなる)、全体の音の感じとか、動き方とか、早く確認したくて。。

一通り音を出して、リバウンドも治って、心底ホッとしました。
これから、仕上に向けて、作業を進めます。

修理をすると、大きな修理でも、身近な修理でも、音を出したり、調律するまで、大丈夫か常に不安だったりして、やる切ったと思って寝ても、夜中、ありえない不安に襲われたりします。
もっと気軽に考えられたらいいのだろうけど、責任もってちゃんと応えようと想うと、いつもそんな感じになってしまって、でも、今回は大丈夫そうなので、今日はほんとにホッとしました。

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以前は夜の使用が多かったようで、

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新しいものに貼りかえて、きれいになりました。

ファイリングしたり、整調、調律を何回も行なって、

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一通りの作業が終りました。
ハンマー交換も行ない、音も気になるところでしたが、以前のもっさりした音から、しっかり響くピアノとなりました。
元々消音器が付いていて、それにしても、レットオフが10ミリ以上で、タッチ感が悪く、消音器付きなのに鍵盤の高さがガタガタで、整調がかなり崩れていて、やっとリバウンドもなく、きちんとしたタッチになって、ピアノ本来の状態になったと思います。

納品は少し先なので、外装を含む仕上げは納品が近くなってから、昨日からの変化を見ても、おそらくそんなに動かないけど、しばらくは整調と調律、整音を繰り返して、より安定させていきます!

ちょくちょく調律はしていたのですが、本格的に仕上げます。

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整調と調律、整音を行います。
こころなしか、調律しやすくて、音のバランスもとれて、タッチも、リバウンドはなくなり、指に感じる違和感がなくなりました!

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再度鍵盤上げたり、底板の方も念入りに掃除して、

外装のチェックをしながら、どんどん組み立てて、

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今治市・カワイOP32が完成しました。

お引き取りしてから、長くお待たせしてしまって、お子さん方も心待ちにされているということで、お忙しい中、なんとか土曜に納品の時間をとってくださいました。
元々、使用度の高いピアノで、お子様もまだ小さな男の子たちで、今後を見据えて、『思い切って全部やろう』ということで、全てお任せ頂いたピアノで、あと数日で、やっとお届けできます。
届くか心配だった断熱パネルも、昨日の今日ですぐ届いて、ほんとにありがたいです。
あとは納品まで、できるだけ調律と整調を行って、安定させます。

お子さん方がピアノに集まって弾いたりするのかな、とか想像すると、今から私も楽しみで、当日、よろしくお願いいたします!

続いて、明日納品の今治市・カワイOP32の最終検品を行いました。

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再度調律、整調、整音をおこなって、外装ももう一度よく確認しました。
ハンマーも交換しているので、ハンマーが動いてないか、気がかりでしたが、変わりなくで、きっとこの先も大きく崩れることはなさそうです。
他に一緒にお持ちするものなどもチェックして、忘れ物はないはずです!

納品の日

昨日寝ながら、『そういえば…』と思いだしたのですが、

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うちで使っていた補助ペダルがあって、今年の頭くらいから、別のを使うようになって、7年くらい使ったけど、そんなに傷んでもないし、もう使うこともなくて。もしかしたら、今日の今治市・カワイOP32のお子さん方、まだまだ小さいので、もしご入用だったら、使って頂けるといいな、でも、押し付けとなってはご負担だし…と、いろいろ考えたのですが、『磨いて、みていただいてご相談してみよう!』と思って、朝からしっかり分解して、きれいにしておきました。三兄弟さんたちで、フリーで使えるやつなので、使っていただけるといいな。

そして、今治市・カワイOP32のピアノの納品の時間となりました。
搬出は、毎回あっというまです。

工房からすぐのところで、双子の弟さん達が、いまかいまかと待ちわびて、トラックが家に着くと、トラックのそばでずっとピアノが運び込まれるのを、後ろからついて見守っていました。
その近さがかわいらしくて、お母様からの『子供たちが楽しみにしています』というお言葉どおりだな、と思って、こんな心待ちにして待っていてくださったお家のピアノを治せたことが、心底嬉しかったです。

交通量も多く、ちょっぴり難易度の高い所もあったりいて、かなり慎重に、丁寧に作業してくださいました。毎回、安心して作業をお任せできて、ありがとうございます。
設置されると、運送会社さんの音出し確認のお手伝いをしてくれて、問題なく納品されました!
一番に発表会の楽譜を見せてくれて、弾いてくれて、ピアノの周りを行ったり来たり、弾いてみたり、ペダルの違いを発見したり、さっき来たばっかりなのに、もう馴染んでしまっているのが不思議です。

控えめに、『もしもご迷惑でなくて、ご入用でしたら、補助ペダルをお譲りさせていただきたいのですが…』と」お伝えすると、『いいんですか!うれしいです!ありがとうございます!』と、気持ちよく受け取ってくださって、こちらこそ、ありがとうございます。

お仕事がお忙しく、ピアノの点検も、仕事を終えられた足で実家にいらして、そんなバタバタのなか、いつも『子供さんのために、やったほうがいいことはすべてやろう』と、たくさん悩まれながら、消音機の取り外しや身近な修理に加え、バットスキンやキャッチャースキンの交換、ハンマー交換、断熱パネルと防振インシュレーターと、お客様ご負担もかなりある中で、それでも一切値切ったりなく、そういった親心と、信じてお任せくださるお気持ちを裏切ることは絶対できないので、精一杯、できることをさせて頂きました。

元気いっぱいの三兄弟君たちが、ピアノを始めて4か月経って、これからも優しい先生のもと、楽しくピアノをつづけられますように。

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この度は、お任せくださり、本当にありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします!